無人航空機操縦者技能証明の国家資格化が開始されて約1か月が経ちました。
私なりの解釈としては無人航空機操縦者技能証明二等資格は許可申請関係の簡素化はメリットではあるものの、急いで取得するまでの恩恵はなく、無人航空機操縦者技能証明一等資格は自動車で例えるなら、大型免許や大型特殊免許・二種免許に該当する資格でレベル4飛行をするために物流業界などではいずれ必携となるものの、現段階ではまだレベル4飛行自体が手探りな環境であり、実証実験等試験的な取り組みを行う企業(団体)以外ではリスク管理能力も含めて十分なノウハウを持てるのはしばらく先となると考えているので取得の必要性は現段階ではないと考えています。
※そもそも一等資格の学科試験自体、開始が2023年1月16日からですが。。。
飛行面でのメリットは先述の通りまだ小さいものの、ステータス面(取引先等との信用関係)では国家資格を持っていることはストロングポイントになり得るため、もう少し「合格率」などの情報が出揃ったところで今一度考えてみようと思います。
そして、ドローンの国家資格の情報を一度整理してまとめたのでシェアします。
1.国土交通省指定の指定試験機関
国土交通省が指定している試験機関は一般財団法人日本海事協会となります。
また、無人航空機操縦士試験についての情報は無人航空機操縦士試験用のページが立ち上げられているのでこちらから情報確認可能です。(以降、該当する項目はこちらのサイトへリンクも設定しています)
2.受験資格
・16歳以上であること
・航空法の規定により国土交通省から本試験の受験が停止されていないこと
3.受験の流れ
<登録講習機関にて受講>
①登録講習機関で学科講習及び実地講習を受講
②登録講習機関の修了審査に合格し、修了証明を受領
③指定試験機関にて学科試験
※登録講習機関で修了証明を受領していれば指定試験機関での実地試験はなし
④身体検査
<指定試験機関にて受験>
①指定試験機関にて学科試験
②指定試験機関にて実地試験
③身体検査
①一等学科試験
形式 三肢択一式 70問
試験時間 75分
②二等学科試験
形式 三肢択一式 50問
試験時間 30分
5.実地試験
・受験資格/有効な学科試験合格証明番号を有するもの
※学科試験合格の有効期間は発行日から2年間
・試験課題
①机上試験
②口述試験
③実技試験
・合格基準
一等実地試験(減点式採点法/持ち点80点以上)
二等実地試験(減点式採点法/持ち点70点以上)
6.手数料一覧
①学科試験
・一等学科試験 9,900円
・二等学科試験 8,800円
②実地試験(回転翼/マルチローター)
※登録講習機関で修了証明を受領していれば指定試験機関での実地試験はなし
・一等/基本 22,200円
限定変更 20,800円
・二等/基本 20,400円
限定変更 19,800円
③身体検査
・書類での受検 5,200円
・会場での受検 19,900円
④交付申請費用(国土交通省航空局安全部/登録検査機関等に係る登録免許税の納付要領)
・一件あたり 90,000円
(一等資格のみ登録免許税として+3,000円)
二等資格(基本)一発合格で124,400円
不合格の場合は該当する試験の手数料を都度支払い(学科試験合格の有効期間は発行日から2年間)
7.登録講習機関一覧(2022.12.27現在)
登録講習機関の一覧について(国土交通省)※リンクを押すとエクセルデータがダウンロードされます。
2022年12月27日現在、85事業所が登録講習機関として掲載されています。
※該当85事業所のうち、講習開始の情報、料金案内が出ているのは現段階では下記の通りです。(注)情報については、皆様ご自身でもご確認ください。
HP上に料金掲載がある登録講習機関(2023年1月3日現在) |
事務所名 | 資格内容 | 区分 | 金額(別途費用追加がある可能性あり) | URL等 |
ドローン検定協会株式会社 | 一等資格/基本 | 初学者 | ー | |
一等資格/基本 | 経験者 | ー |
二等資格/基本 | 初学者 | 194,700円(税込)+入学金 |
二等資格/基本 | 経験者 | 73,700円~178,200円(税込)+入学金 |
深空株式会社 | 一等資格/基本 | 初学者 | ー | |
一等資格/基本 | 経験者 | 307,200円(税別?)~ |
二等資格/基本 | 初学者 | 257,200円(税別?)~ |
二等資格/基本 | 経験者 | 98,000円(税別?)~ |
東日本ドローン航行技術教習校 スカイバード | 一等資格/基本 | 初学者 | 505,000円(税別)~ | |
一等資格/基本 | 経験者 | 155,000円(税別)~ |
二等資格/基本 | 初学者 | 205,000円(税別)~ |
二等資格/基本 | 経験者 | 85,000円(税別)~ |
株式会社Flight PILOT | 一等資格/基本 | 初学者 | ー | |
一等資格/基本 | 経験者 | ー |
二等資格/基本 | 初学者 | 463,000円(税別?)~ |
二等資格/基本 | 経験者 | 162,000円(税別?)~ |
一般社団法人 日本ドローンビジネスサポート協会 | 一等資格/基本 | 初学者 | 2,029,500円(税込)~ ※単価の積算 | |
一等資格/基本 | 経験者 | 561,000円(税込)~ ※単価の積算 |
二等資格/基本 | 初学者 | 577,500円(税込)~ ※単価の積算 |
二等資格/基本 | 経験者 | 214,500円(税込)~ ※単価の積算 |
空力計画株式会社 無人航空機登録講習機関 | 一等資格/基本 | 初学者 | 363,000円(税込)~ | |
一等資格/基本 | 経験者 | 220,000円(税込)~ |
二等資格/基本 | 初学者 | 210,000円(税込)~ |
二等資格/基本 | 経験者 | 77,000円(税込)~ |
プラネットドローン葉山校 | 一等資格/基本 | 初学者 | ー | |
一等資格/基本 | 経験者 | ー |
二等資格/基本+目視外 | 初学者 | 379,500円(税込) |
二等資格/基本+目視外 | 経験者 | 126,500円(税込) |
8.登録講習機関での受講時間
登録講習機関の教育内容基準等を定める告示(全体版)/国土交通省によると、初学者と経験者で受講時間に差が設けられています。
登録講習機関での受講時間一覧 |
科目 | 資格内容 | 区分 | 時間 | 減免時間 |
学科 | 一等無人航空機操縦士 | 初学者 | 18時間以上 | ー |
経験者 | 9時間以上 | 最大9時間減免 |
二等無人航空機操縦士 | 初学者 | 10時間以上 | ー |
経験者 | 4時間以上 | 最大6時間減免 |
実地講習 (基本) | 一等無人航空機操縦士 | 初学者 | 50時間以上 | ー |
経験者 | 10時間以上 | 最大40時間減免 |
二等無人航空機操縦士 | 初学者 | 10時間以上 | ー |
経験者 | 2時間以上 | 最大8時間減免 |
実地講習 (限定変更/目視外) | 一等無人航空機操縦士 | 初学者 | 7時間以上 | ー |
経験者 | 5時間以上 | 最大2時間減免 |
二等無人航空機操縦士 | 初学者 | 2時間以上 | ー |
経験者 | 1時間以上 | 最大1時間減免 |
実地講習 (限定変更/夜間) | 一等無人航空機操縦士 | 初学者 | 1時間以上 | ー |
経験者 | 1時間以上 | ー |
二等無人航空機操縦士 | 初学者 | 1時間以上 | ー |
経験者 | 1時間以上 | ー |
実地講習 (限定変更/25kg以上) | 一等無人航空機操縦士 | 初学者 | 2時間以上 | 最大1時間減免 |
経験者 | 1時間以上 | ー |
二等無人航空機操縦士 | 初学者 | 2時間以上 | 最大1時間減免 |
経験者 | 1時間以上 | ー |
下記9.でも説明していますが、国土交通省としての初学者と経験者の基準はなく、減免時間も「最大●時間」のため、経験者においても【A団体が発行するライセンス所有者は●時間減免】【B団体が発行するライセンス所有者は減免なし】など、登録講習機関によって民間資格の扱いに差が出る可能性もあります。
9.初学者、経験者の違いについて
民間ライセンス所有者にとって気になるところですが、国土交通省の「よくある質問」には下記のように記載されています。
要するに・・・
ホームページ掲載講習機関(講習管理団体)の認定証等の保持義務はない。
認定証等はなくても修了試験を合格できる自信があれば経験者として受講できる。
という内容。(独学でも経験者扱いは可能ということになります)
実際には上記7.の登録講習機関がどこまでを経験者とするかを判断することになるかとは思いますが、ライセンスを持っているから経験者とも言い切れない点は気になります。
10.登録講習機関での受講額
国土交通省の「よくある質問」には下記のように記載されています。
国土交通省からの「金額の上限・下限の制限はない」とのこと。初期の登録講習機関の値段設定が今後の基準となっていくことと考えられます。そして、登録講習機関が増えてくると価格競争が始まる可能性もあります。将来性があるとはいえ、まだまだ一般的とは言えないドローンにおいて、限られたパイを取り合うことが始まり、値段が下がり、講習の品質が下がり、安全性が下がることはあってはあってはならないことと考えるなか(講習品質を担保するため覆面調査員が受講者に紛れ込むとの噂も聞いていますが)、他の国家資格がどうなのかはわからないものの、ある程度国として金額の基準を設け価格競争ではなく講習の品質で差別化できる環境を整えるべきと考えます。
以上、2023年1月3日時点での無人航空機操縦者技能証明試験の情報共有でした。